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2型糖尿病

2型糖尿病とは

2型糖尿病とは糖尿病の中で最も頻度が多いのが2型糖尿病です。生活習慣病としての糖尿病とは、2型糖尿病のことを指します。主に40歳以上の患者様が多い傾向にあり、食生活などの環境因子と体質(遺伝)の組み合わせで発症します。
2型糖尿病は初期症状がない場合が多く、疲れやすい、体重減少、多尿、頻尿といった症状が出てきた場合、病状が進行している可能性があります。運動療法や食事療法で治療を行いながら、内服治療やインスリン療法を行って臨機応変に対応していきます。

2型糖尿病の症状や特徴は?

2型糖尿病は症状の少ない病気ですが、以下のような症状がすでに現れている場合には、お早めにご相談ください。

2型糖尿病の症状や特徴は?
  • 疲れやすい
  • 喉の渇きや空腹を異常に感じる
  • 手足の感覚が鈍い
  • 肌が乾燥してかゆい
  • 感染症を発症しやすい
  • かすみ目
  • 勃起不全
  • トイレが近い
  • 傷が治りにくい

特徴

初期の2型糖尿病は症状があまり出ないのが特徴です。少しずつ血糖値が上がり始め、尿中の糖分が多くなっていきます。腎臓は過剰になった糖分を処理するため大量に尿を作るので、頻尿の症状が現れます。頻尿はのどの異常な渇きや体重減少、空腹感に繋がっていきます。
初めは喉の渇きも頻尿も軽い症状として現れますが、時間経過と共に悪化し、吐き気、疲れやすい、かすみ目、体力の低下、眠気などが出てくる場合があります。

長い間放置していると合併症を生じる危険性も…

無症状なケースが多い2型糖尿病は、市の健診などの血液検査で病気が発覚することもあります。病状が進行すると、疲労感や体重減少、異常に喉が渇くといった症状が出てきますが、さらに悪化すると意識障害を引き起こす可能性もあります。
また、糖尿病を治療せずに放置したままだったり、適切ではない方法で治療したりすると、血糖値が下がらず、神経や血管の合併症を発症する恐れがあり注意が必要です。網膜症や失明、腎機能障害や透析が必要な腎不全、神経障害や排尿・排便障害が現れる場合があります。

高血糖が続くと動脈硬化を起こしやすく、脳梗塞、心筋梗塞、下肢壊疽などの重篤な状態になるリスクが高まります。
糖尿病を発症後、数ヶ月~数年で合併症の症状が出てきますが、適切な血糖値管理をされている方は、合併症を引き起こしたり悪くなったりする可能性がより低くなります。

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2型糖尿病になる理由と原因

2型糖尿病は、ストレスの溜めすぎ、不適切な生活習慣(暴飲暴食、睡眠不足、運動不足、乱れた生活リズムなど)、遺伝、肥満などによって、インスリンの働きや分泌量の低下が起こることで発症する病気です。

不適切な生活習慣の具体例

  • 食べ過ぎ、早食い
  • 米、パン、麺類の食べ過ぎ
  • お酒の飲み過ぎ
  • 運動習慣がほとんどない
  • 睡眠時間が短い、質が悪い
  • 昼夜逆転など生活リズムが不規則
  • 太っている
  • ストレスを溜め込んでいる、解消しない

こんな人は2型糖尿病になりやすいかも…

2型糖尿病の原因から考えると、以下のような人は、そうでない人よりも2型糖尿病になりやすいと考えられます。

こんな人は2型糖尿病になりやすいかも…
  • 暴飲暴食などの食生活の乱れがある人
  • 睡眠不足、運動不足の人
  • 不規則な生活をしている人
  • ストレスを溜めがちな人
  • 太っている人
  • 糖尿病の家族歴がある人
  • 40歳を超えている人

「1型糖尿病」と「2型糖尿病」の違い

「1型糖尿病」は、身体の免疫システムの異常によって、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンが不足することで発症する病気です。生活習慣の乱れはほとんど関係なく、予防することはできません。主に、若年時に発症します。
一方の「2型糖尿病」は、遺伝的な体質と暴飲暴食、睡眠・運動不足、ストレス、肥満などの不適切な生活習慣を主な原因としてインスリンが不足する・十分に働かないことで発症する病気(生活習慣病)です。主に、40歳以降に発症します。適切な生活習慣を続けていれば予防することが可能です。
糖尿病の大部分を占めるのは生活習慣病である2型糖尿病です。

2型糖尿病の診断基準

血糖値、HbA1c、75g経口ブドウ糖負荷試験の検査を行い、2型糖尿病であるか否かを調べます。

  1. 朝、空腹時の血糖値が126mg/dL以上
  2. 75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値が200mg/dL以上
  3. 時間を指定しない場合の血糖値が200mg/dL以上
  4. HbA1c が6.5%以上
  5. 朝、空腹時の血糖値が110mg/dL未満
  6. 75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値が140mg/dL未満

1~4の中で1つ以上当てはまる方は「糖尿病型」で、後日再検査を行います。1~3の中のどれかと4に当てはまる方は糖尿病と診断され、再検査は行いません。5と6の両方に当てはまる方は正常型です。1~6のどれにも当てはまらない方は境界線型となります。

2型糖尿病の検査と治療法

検査

採血で血糖値、HbA1cの測定を行います。そのほか、75g経口ブドウ糖負荷試験や尿に含まれるブドウ糖やタンパクの量を検査します。空腹時の血糖値が高い場合、糖尿病が進んでいる可能性があります。

治療法

2型糖尿病は、血糖値を基準値に近い状態にコントロールすることが大切です。そのため、定期的に経過を観察し、食事療法や運動療法、生活習慣の見直し、薬物療法を続けていくことが必要です。

生活習慣の改善

生活習慣の改善は、「食事療法」と「運動療法」が基本になります。

食事療法では、適切な食事量を年齢、性別、運動量などから割り出し、栄養の偏りがない食事を摂取していただきます。医師や管理栄養士のサポートを受けながら食事量を調整しますが、無理しない程度に行うことが大切です。
運動療法では、有酸素運動(水泳、ウォーキング、軽めのジョギングなど)を中心とし、筋力トレーニングも併用します。好きな運動、スポーツを取り入れて、運動を楽しく継続するための工夫をしていきます。

薬物治療

インスリンやGLP-1受容体作動薬の注射、血糖値を下げるお薬を飲んで治療していきます。

2型糖尿病にならないために

2型糖尿病にならないために基本は1日3食しっかり食べることです。
特に、野菜、キノコ、海藻類などの食物繊維を多く含む食べ物がおすすめです。1. 野菜、2. 汁物、3. 主菜、4. ご飯という順番で食べると糖質の吸収が緩やかになることが期待され、暴飲暴食の防止にも繋がります。また、食事は腹八分目に控え、就寝する直前に食事を摂るのは止めましょう。

糖尿病予防に本格的に取り組みたい場合、1日のカロリーを適正量に抑えるようにしてみましょう。
1日のエネルギー量は人それぞれのため、下記の1. 標準体重と2. 1日に必要なエネルギー量を算出してみてください。

1. 標準体重(kg)= 身長(m)× 身長(m)× 22
2. 1日に必要なエネルギー量(kcal)=※体重1kgで必要なエネルギー(kcal/kg)×体重(kg)
※体重1kgで必要なエネルギーは仕事や生活習慣などで変わります

  • 通勤、軽い運動、家事、立ち仕事:30〜35(kcal/kg)
  • 座ることが多い:25~30(kcal/kg)
  • 力仕事、激しく運動する:35~(kcal/kg)

カロリー計算ができたら、実際の食事で取り入れてみましょう。
始めから完璧に行う必要はありません。心が折れそうになる日もあると思います。頑張っている自分に何かしらのご褒美を与えながら、少しずつ習慣にしていくことが大切です。

2型糖尿病の治療目標

2型糖尿病の治療では、糖尿病の進行と合併症を予防し、健康な人と変わらないQOLを維持することが大きな目標となります。
具体的には、HbA1cを目標値に収めることが大切になります。適切なHbA1cの値は、年齢、身体の状態によって個々に異なります。当院では、目標値を共有し、お一人おひとりに合った治療を提案することで、患者様が前向きに治療に取り組めるよう全力でサポートいたします。

2型糖尿病のQ&A

母が糖尿病です。私も糖尿病になってしまうのでしょうか?

体質の遺伝によって、親が2型糖尿病である場合には、そうでない人と比べると2型糖尿病のリスクは高くなります。ただ、生活習慣を改善することで、発症リスクを下げることは可能です。 1型糖尿病の場合には、ほとんど遺伝性は認められません。

インスリン治療は、生涯やめられないものなのでしょうか?

慢性的にインスリンの分泌が低下している場合には、生涯にわたるインスリン治療が必要な場合が多いです。ただし、高血糖による糖毒性によって一時的なインスリンの不足に陥っている場合には、治療により血糖値をコントロールできれば、インスリン治療をやめることが可能です。

好きなものが食べられなくなるのが嫌で、なかなか治療に向き合えません。

糖尿病の治療では食事療法が必須ですが、「何かをまったく食べられなくなる」といったことは基本的にありません。ご飯やパン、麺類、お菓子なども、量の制限は必要ですが、食べられます。 「〇〇が食べられない」というよりも、「〇〇はこれだけなら食べられる」というように考えることで、食事療法も続けやすくなります。

運動が苦手です。食事療法とお薬だけの治療は可能でしょうか?

運動療法は必須とお考えください。ただ、難しい運動、疲労困憊する運動は必要ありません。ウォーキングや軽いジョギング、水泳といった有酸素運動、室内でできる簡単な筋力トレーニングを組み合わせ、年齢やお好みに合わせた続けやすい運動を行いましょう。