糖尿病とは

糖尿病とは、インスリンというホルモンが不足している、あるいは十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が異常に高くなる病気です。血糖が高い状態が続くと徐々に血管が傷つけられ、その結果、種々の臓器に異常を来します。
ブドウ糖はからだにとって大切な物質であり、常に血液中を流れています。血液の流れに乗って、からだのあらゆる臓器や組織に到達したブドウ糖は、インスリンの作用で細胞に取り込まれます。取り込まれたブドウ糖は、私たちのからだが活動するための大切なエネルギー源となります。
インスリンは膵臓のランゲルハンス島β細胞というところで作られ、血糖値を下げることができる唯一のホルモンです。インスリンは、血糖値が上昇すると、それに反応して膵臓から分泌されます。インスリンが細胞表面にあるインスリン受容体に結合すると、細胞は血液中のブドウ糖を取り込みエネルギー源として利用します。また、インスリンは余ったブドウ糖を中性脂肪やグリコーゲンに変えて蓄える働きも持っています。
インスリンが十分に働かない原因は2つあります。一つは、膵臓の機能の低下により、インスリンの分泌が低下している状態です(インスリン分泌低下)。もう一つは、インスリンは作られているけれど働きが悪くなり、十分な効果を発揮できない状態です(インスリン抵抗性)。糖尿病では、この2つの異常によりブドウ糖をうまく細胞に取り込めなくなるため、血糖値が異常に上昇します。
糖尿病は、原因によって「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「その他の特定の機序、疾患によるもの」、そして「妊娠糖尿病」の4つのタイプに分類されます。日本人で圧倒的に多く、生活習慣病の一つとされているのは2型糖尿病です。2型糖尿病の発症には、体質的な要因に加え、過食、運動不足、肥満、ストレスといった生活習慣的な要因が関係しているため、生活習慣の見直しがとても大切です。
糖尿病の4つのタイプ | |
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1型糖尿病 | 膵臓のランゲルハンス島β細胞が何らかの原因で壊れてしまい、インスリンが分泌されなくなることにより発症します。注射でインスリンを補う治療が必要となります。この状態をインスリン依存状態といいます。 |
2型糖尿病 | インスリンが出にくくなったり、働きが悪くなったりすることによって血糖値が高くなり発症します。遺伝的な要因に加えて、食べ過ぎ、運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣が影響します。 |
その他の特定の機序、疾患によるもの | 遺伝子の異常や、他の疾患、血糖値に影響を及ぼす薬の使用などにより血糖値が高くなり発症します。 |
妊娠糖尿病 | 妊娠中に初めて発見された、または発症した、まだ糖尿病に至っていない血糖値の上昇をいいます。 |
1型糖尿病と2型糖尿病の違い | ||
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1型糖尿病 | 2型糖尿病 | |
膵臓でインスリンを作るβ細胞が壊れてしまうため、インスリンが膵臓からほとんど出なくなり血糖値が高くなる | 原因 | 生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりして血糖値が高くなる |
家系内の糖尿病は比較的少ない | 家族歴 | 家系内や血縁者にしばしば糖尿病がある |
小児から思春期に多い | 発症年齢 | 中高年に多い |
急激に症状が現れて糖尿病になることが多い | 症状 | 症状が現れないこともあり、気が付かないうちに進行する |
やせ型の方が多い | 体型 | 肥満の方が多い |
インスリンの注射 | 治療 | 食事療法・運動療法、飲み薬、場合によってはインスリン注射を使う |